多くの方が不安を抱える骨粗鬆症の予防に貢献しました。

 

~高齢女性医療環境改善計画~

 

当館は、「草の根・人間の安全保障無償資金協力」により、ミナスジェライス州カッシア市の聖ヴィセンテ・デ・パウロ協会に、新たに骨密度検査サービスを開始するため、128,721.60レアル(約752万円)を供与しました。そして、このたび聖ヴィセンテ・デ・パウロ病院内に検査のための機材が購入され、2013年2月19日、供与式が同病院で行われました。

 

 式典は、当館から木村元(はじめ)総領事代理(当時)、ウェリントン・ルイヴィゾット聖ヴィセンテ・デ・パウロ病院長、マルコス・アントニオ・ヘゼンジ同院運営理事、ロウリヴァル・シャベス・デ・フィゲイレード同院医師、その他同院職員多数の他、カッシア市役所保健局長、カッシア市議会議長、病院関係者など多数が出席し、盛大に行われました。

 

 

高齢女性医療環境改善計画とは

 

聖ヴィセンテ・デ・パウロ協会が運営維持する聖ヴィセンテ・デ・パウロ病院は、ミナスジェライス州の州都ベロオリゾンテ市より西384kmに位置する人口約17,000人のカッシア市の中心地区にあり、ブラジル統一保健医療制度(SUS)利用者が診療を受けることが出来る、市内で唯一治療費が無料の病院です。同病院はカッシア市の他、近隣4市(カペチンガ、クララヴァル、デルフィノポリス、イビラシ)の住民、計約48,000人に対応しています。

人間の骨量は成長と共に徐々に増え、20~40歳でピークを迎えた後、緩やかに減少しますが、女性の場合、閉経後は骨が壊れるのを防ぐ女性ホルモンが殆ど分泌されなくなるため、骨量が急激に減少し、男性に比べ骨粗鬆症に罹る可能性が高くなります。骨粗鬆症にかかると骨折を起こし、日常生活に大きな影響をきたすだけでなく、身体不随、やがて早死にする場合も少なくありません。

同病院の管轄地域(計5市)の女性人口は約27,600人で、40歳以上は8,571人、50歳以上の女性数は5,275人であり、現在年間約800件の骨密度検査の需要があるにもかかわらず、同市及び近隣4市に骨密度測定装置を持つ病院はありませんでした。正確な骨密度検査を受けるためには60kmほど離れた他の市の病院まで行く必要がありました。しかも、そういったところでも、民間病院での検査は有料であるため経済的に余裕のない人々には利用しづらく、無料で検査を受けられる慈善病院は、検査需要が多いために、検査を受けるためには長期間待たなくてはならないといった事情がありました。

 

そこで、我が国は、同病院に骨密度測定装置及びその周辺設備(停電時でも測定装置が正常に作動するための無停電電源装置、高温度によって生じる測定装置の不具合を回避するためのエアコン)を導入しました。これにより、女性のみならず地域住民の骨粗鬆症の防止、早期発見に寄与されるばかりか、この装置のスキャン機能によって肥満症、筋肉の不良形成、筋肉衰退等の状況についても、症状を把握して適切な措置・療法の指示が可能となりました。