「性と生殖に関する健康」教育を、出前サービスで実施できるようになりました。

~移動式保健医療訓練室供与計画~

 

当館は、「草の根・人間の安全保障無償資金協力」により、「ブラジルの家族の幸せグループ-市民、教育、社会発展及び健康機関」に対し、「性と生殖に関する健康」分野における専門分野における専門家の訓練のための移動式保健医療訓練施設を購入するための180,432.03レアルを供与しました。そしてこの度、その購入等が完了し、2012年9月21日にリオデジャネイロ州テレゾポリス市の母子診療センターにて供与式が行われました。

 式典には、当館から渡邉優総領事(当時)及び木村元(はじめ)首席領事(当時)、ロベルト・ベンゼクリBEMFAM会長,ネイ・コスタ同事務総長、ガブリエレ・ギマランエスBEMFAM-CEDESS事務局長を始めとするBEMFAM関係者の他、カルロス・サンタナ・テレゾポリス市役所衛生局長、森山光昭テレゾポリス日本人会長を始めとする地元関係者が出席しました。

 

 

移動式保健医療訓練室供与計画とは

 

 ブラジルでは、特に貧困層を中心に「性と生殖に関する健康」の分野での意識が低いため、毎年多くの少女が妊娠・出産しており、エイズを始めとする性病に感染する者も少なくありません。そして、ブラジルでは妊娠中絶が原則的に禁止されているため、闇営業の堕胎手術を受ける妊婦も多いが、これらの施設は衛生面や技術面で問題が多く、闇の堕胎手術を受けた妊婦の中には死亡したり、重大な後遺症を持つ者も多いのが実情です。

 さらに、合法的妊娠中絶は指定病院でしか実施できないにもかかわらず、その病院の医師ですら手術を拒否する場合があり、合法的中絶を必要としている妊婦は絶望的な状況に置かれることになります。このような状況を改善するには、医師や看護士、衛生指導員などの専門家及び一般市民に対し「性と生殖に関する健康」分野の正しい認識を広め、予防や治療のための技能の向上を図ることが必要でした。

 

 ブラジルの家族の幸せグループ-市民、教育、社会発展及び健康機関」は、性病防止教育やその技術支援、ワークショップ開催による性と生殖分野での医療関係者の訓練、青少年の性と生殖に関する健康推進計画の推進などを14州で行っている団体です。同団体は、このような訓練や教育を、その対象者に施設に来てもらって行うのではなく、必要としている地域に自らが出かけて行うことが有益と考えていました。

 このため我が国は、婦人科診療室と講義用のスペース・機材を兼ね備えたマイクロバスを購入し、移動式の保険医療訓練室を供与することができました。これにより、ミナスジェライス州イツイウターバ地域の9都市及びリオデジャネイロ州山間部の16都市に出向き、これらの地方都市の基礎医療機関で働く医療関係者(医師、看護師、指導員など)に対する理論訓練を無料で行い、その地域の住民の医療サービスへのアクセスの向上を図ることができるようになりました。